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古関裕而・金子夫妻を主人公のモデルとするNHKの朝の連続テレビ小説「エール」のロケ地を巡るため豊橋を観光してきました。また豊橋は古関(内山)金子の出身地でもあることから、そのゆかりの地を訪ねました。「エール」ファンとしても、古関裕而ファンとしても、とても楽しい一日でした。

2020年11月1日(日)

前日の宿泊地である名古屋から名鉄で豊橋まで。「とんがり帽子」などドラマにも登場した古関メロディーを聞きながら。また古関裕而作曲の「豊橋市歌」も。

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朝ドラ誘致運動の結果、古関夫妻をモデルにしたドラマが制作されることになったことを知らせるもの。なお、制作決定以前(2017年)に筆者が福島市の古関裕而記念館を訪れた際も誘致運動の協力を呼びかけていたのを目にしている。

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「『「エール』のまち豊橋。」と、この作品で盛り上がる街の姿を目にして筆者も嬉しくなってきた。だんだんと気分が前のめりになってきた。コインロッカーに荷物を預け、急いで街に繰り出した。

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路面電車も「エール」カラーでラッピングされている。路面電車自体も全国的に珍しいものなので嬉しい。

予約していたレンタカー店をめざして商店街を歩くと、あちらこちらでポスターや「エールめし」の幟を目にした。

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「古関金子ちゃん」マンホールは豊橋市こども未来館「ここにこ」の前の歩道にある。イラストデザインは豊橋市出身の漫画家の佐野妙さんによるもの。


最初の目的地は伊古部海岸だ。こちらは「 遠州灘沿いに浜名湖から渥美半島の伊良湖岬まで続く表浜といわれる長大な海岸線の一部」であり、アカウミガメの産卵やサーフィンの名所として知られるが、ドラマでもキービジュアルの撮影やオープニングその他豊橋編の重要なシーンで何回か登場している。駅からは自動車で約30分ほど。カーラジオでご当地の「やしの実FM」を聞きながら向かう。

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撮影スポットとして設置されたオブジェ

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駐車場に車を止めて、浜辺に向かって歩く。初めての場所だが、既に何回も見ている。ドラマで裕一や音が訪れたあの場所だからだ。劇中でも美しい空と海が映っていたが、実際は想像していた以上のものだった。

主題歌のGReeeeN「星影のエール」やドラマのサウンドトラック、そして作中に登場した古関メロディーを聴きながら海岸を散歩するのは至福の時間であった。小一時間歩き回ると美しい風景にすっかり心が癒された。また、(証拠はないが)古関裕而・金子夫妻もこの地を訪れていたかもしれないと妄想するのも楽しい。

自分の他にもロケ地巡りをしていると思われる人が何人もいて、夫婦でキービジュアルの再現をしていたりと楽しそうであった。

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(ついつい下らない遊びも・・・)


伊古部海岸を後にして向かうのは大清水まなび交流館ミナクルだ。お目当てはもちろん「エール」展だ。

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登場人物のパネルがお出迎え。

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古山音役の二階堂ふみさんが着用した衣装。とても細かった。

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撮影で使用した小道具。昭和初期の音楽が好きなので再現されたSPレコードを実際に見られて嬉しい。裕一と音のやり取りに使用したはがきや便箋は、史実でのやり取りを踏まえたものになっていて興味深い。例えば便箋に掲載されていた「君はるか」の詩を元に作曲するなど。

この他にも、ドラマを紹介するパネルがあったりと小規模ながら充実していた。

「エール」展は豊橋市内各地で開催されており、ミナクルでは11月1日から11月26日までとのこと。気になった方は事前に調べておくとよいと思う。


ロケ地巡りに展示と満足した気分で「お腹いっぱい」だが、それでもお腹はすく。せっかく豊橋に来たのだから名物を食べたい。そこで豊橋カレーうどんを食べることにした。

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ミナクルの近くにある「そば源」にて豊橋カレーうどん。「豊橋カレーうどんの最上級を目指しました」というのも納得の美味しさ。豊橋カレーうどんといえば、器の底にとろろがかかったご飯があるのが特徴だが、それをさらに深化させて、チャーハンととろろご飯の二層構造にしたという。

なお、「エール」に関内吟役として出演している松井玲奈さんは豊橋市の出身で「豊橋カレーうどん大使」も務めている。


午後からは史実の古関(内山)金子にゆかりのある場所を巡る。当時住んでいたのは豊橋市に合併する前の高師村小池というところである。父は同地で「内山安蔵商店」を開き、馬の蹄鉄や餌など手広く扱う御用商人で、軍との取引があった。この辺りはドラマの設定と共通している。

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氏神として鎮座する小池神社。古関裕而も訪れていたという。

金子の実家は柳生川の支流沿いにあったようだ。筆者も近辺を通ってみたが、当時の家屋は当然ながら残ってはいない。街並みもすっかり変わってしまっているようだ。

小池神社から徒歩で20分ほどの距離に愛知大学豊橋キャンパスがある。ここにはかつて第15師団があった。司令部の建物は現在でも愛知大学記念館として利用されている。大学まで足を運んでみたが、その日は入校制限があって入ることはできなかった。残念ではあったが、金子宅から師団司令部までの距離感を体感することができたのはよかった。

豊橋駅周辺エリアまで戻る。

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豊橋市公会堂。

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吉田城鉄櫓

路面電車に乗って市役所前で降りる。豊橋市公会堂や吉田城はドラマにも登場している。


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市役所近くの豊川堂。必ずしも大きくはない店舗だが郷土史の書籍が充実するなど、さすがは吉田藩の御用商人をルーツに持つ老舗だと感じさせる。出版も手掛けている。


さて、豊橋の観光はおおよそ以上のとおりだ。作品に直接登場する場所もしない場所もあるが、古山夫妻そして古関夫妻のあゆみを色々と想像することができて楽しい旅行だった。


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お土産は豊橋名産ヤマサのちくわ。「エール」とのタイアップキャンペーンも行っておりステッカーが貼られている。この他にも様々なコラボ商品があった。

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旅の参考文献はこちら。左の「古関金子」はおそらく初の古関金子の伝記。著者の岩瀬彰利さんは豊橋市図書館の主幹学芸員。本文中の古関金子に関する記述は基本的に本書によった。右は現地で購入したもので東三河の歴史が分かりやすく解説されており、当時の歴史的背景を知ることができる。

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観光案内所「とよはし情報プラザ」で入手したパンフレット。